「教材の作成と活用法」 (社)国際日本語普及協会所属教師 津田訓江先生



「教材作成と利用法」
現在の問題点、成功例の情報交換をしましょう
教材を考える上での基本

 1.学習者の必要とする状況をしっかり把握すること
 2.規制のテキストの利点と問題点
 3.素材としての教材という考え方
  1) 「リソース型生活日本語」公益社団法人国際日本語普及協会
   (ネット上で無料公開)  http://www.ajalt.org/resource/
2) 『にほんごこれだけ!』ココ出版社 監修:庵 功雄(税込1,050円)
   (ネット上で活動例の動画を公開) http://cocopb.com/koredake/
3) 身辺の何でも教材になる ⇔ 学習者の“必要”が教材を生む!
 
教材準備と進め方
教材作成にチャレンジ

・タクシーで目的地に行く (タクシーに乗る) (行き先を告げる) (方向を指示する) (泊るところを指示する) (タクシーを降りる) 
・いい人間関係を保つ (自分のうちから出る音や声について聞く)
・親しくなる (「分からないもの」について聞く) 
・学校で使う言葉 (日常生活で使う言葉) (成績に関する言葉)
・新聞の切り抜き (熱中症) (「1日1万5000歩」子どもは歩こう) (校内BGMでリラックス)
・毎日の暮らしから (このマークの意味は?資源のリサイクル)(風呂のマナー) 
・クイズ (色・動物・数字のイメージは?)
作成教材と使用法を発表・意見交換
まとめ


グループ発表のまとめです。 
メンバー:6人     
タイトル:色、動物、数字のイメージ
対象者:初級終了程度、主婦

1.色
祝儀袋・不祝儀袋を用意。 
日本では、結婚式の時、葬式の時にお金を贈る習慣があることを説明。
赤白は結婚式用、黒白は葬式用を説明。
赤白のイメージ、黒白のイメージをわかってもらう。
「あなたの国ではどうですか?」と尋ねて、それぞれの国で、何色がどんな
イメージがあるか語ってもらう。
余裕があれば、紅白まんじゅう、紅白歌合戦、運動会の紅白等も話題にする。

2.動物
「縁起がいい」の導入。○○を見るといつも良いことがあります=縁起が良です・・・等
日本では、白い蛇は縁起が良いといわれます。
縁起が悪いのは、からす。
鶴亀についても説明。
招き猫、黒猫なども。
学習者の国では、どんな動物がどんなイメージなのかを尋ねる。

3.数字
日本では7や8が好まれる。4と9は嫌われると説明。理由を説明。櫛はプレゼントにしないことを言う。
学習者の国での、良い数字と悪い数字を話してもらう。

我々のグループでは、お金を贈ることがタブーである国があるとの指摘に、「日本と世界との常識の違い」に神経を遣う必要があるんだということを改めて気付かされました。

━参加者の声━
1.難民の状況のお話しは興味深かったです。
・学習者にとって、今必要な日本語を、日本語ボランティアは察知する努力をしなければと思いました。学習者が人まとまりの話ができるよう導くことを目標に、頑張りたいと思います。 
2.難民についての話は興味深かったです。福岡ではあまり出合いませんが、知っておくことは大事ですね。
・学習者本人が必要としているなら、漢字など教える事が大切だという点になるほどと思いました。つい教科書やレベルを気にし過ぎてしまいます。
3.実践に基づいた講義をありがとうございました。教材の役立て方、作り方など分かり易く、すぐに使おうと思います。自分が日本語の構造をよく理解すること、文法力アップは大切なことですね。
4.豊富な経験に基づくお話しで、大変面白く受講しました。具体的な教材を教えていただき大変ためになりました。目的をしっかりとらえて頑張りたいと思います。ありがとうございました。
5.教材作りがとても楽しい作業でした。既成のテキストをそのまま使うのではなく、テキストを利用して自分なりの教材(レベルに合わせた)をどう使うかなど、学ぶことがたくさんありました。身近なものにも教材になるものが沢山あるのだという新しい発見もありました。
6.生教材などを活用しながら、どのように工夫、アレンジして学習にいかしていけばよいか、貴重なヒントが貰えました。
7.沢山のことを覚えて欲しいと詰め込むのではなく、重要なポイントを絞ること。毎回、達成感を覚えさせるように努めようと思いました。
8.「一レッスン、一ポイント」が一番心に残りました。欲張らず楽しんでいきたいと思いました。いつも、いかに発話させるかと悩んでいましたので、大変勉強になりました。